トレッキングパンツとは

トレッキングパンツとは、登山やトレッキング、ハイキングでの着用を想定しているボトムスです。アウトドアシーンで活躍できるように、一般的なボトムスよりもストレッチ性や耐久性が高くなっています。
トレッキングパンツは、さまざまなメーカーから販売されており、デザイン性が高いものも多くあります。現在では、トレッキングパンツは機能のみを求めて着用するものではなく、ファッションアイテムのひとつとしても楽しめるものになっています。
トレッキングパンツの種類

トレッキングパンツの種類には、ロングパンツとショートパンツ、コンバーチブルパンツの3つがあります。それぞれ適した季節や機能性が異なるため、以下の表で特徴を理解しておきましょう。
| 適した季節 | ストレッチ性 | 速乾性 | 保温性 | 通気性 | 着心地 | |
| ロングパンツ | 年中 | △ | △ | ◎ | △ | ◎ |
| ショートパンツ | 夏 | ◎ | ◎ | × | ◎ | ◎ |
| コンバーチブルパンツ | 年中 | 〇 | 〇 | ◎ | 〇 | △ |
ロングパンツ
ロングパンツは、腰から足首までを布地で覆っているトレッキングパンツです。春から冬まで1年を通して着用に向いており、汎用性の高いタイプといえます。これから登山を始める人で、最初の1着を探しているのであれば、ロングパンツを選ぶと良いでしょう。
脚全体を保護できるため、けがや紫外線、虫によるリスクを軽減できる点が特徴です。一方、気温や湿度の高い場所では、汗で蒸れやすいというデメリットがあります。速乾性や通気性に優れた商品が販売されているものの、ショートパンツやコンバーチブルパンツに比べるとやや劣ります。
ショートパンツ
ショートパンツは、腰から膝上までを布地で覆っているトレッキングパンツです。気温が高く、汗をかきやすい夏の着用に向いています。
膝下が露出しているため、汗をかいても蒸れによる不快感の少ない点が魅力です。また、膝の動きが制限されず、快適に脚を動かせるメリットもあります。しかし、膝下が露出しているため、けがや紫外線などによるリスクにさらされており、虫よけスプレーや日焼け止めの使用が必要です。
コンバーチブルパンツ
コンバーチブルパンツとは、膝付近に備え付けられたファスナーによって膝下部分を着脱できるトレッキングパンツです。着脱によって体温を調節できることから、1年を通して着用できます。
登山時の気温や天候に合わせて、自分で簡単にショートパンツやロングパンツに変更できる点が特徴です。「ショートパンツとロングパンツのどちらを購入するか選べない」「登山時の天候が読めず、どれを着用すべきかわからない」という人は、コンバーチブルパンツを選ぶと良いです。ただし、ファスナーが肌にあたることで、着心地が悪く感じる可能性がある点に留意しておきましょう。
トレッキングパンツとタイツはどちらがいい?

登山用のタイツとは、保温効果や着圧による疲労軽減効果を期待できるボトムスです。タイツのみで着用可能ではあるものの、トレッキングパンツと併用することでさらに高い保温効果を得られます。
トレッキングパンツとタイツのどちらが優れているというわけではなく、それぞれメリット・デメリットがあります。以下にまとめましたので、参考にしてみてください。
| メリット | デメリット | |
トレッキングパンツ |
・ショートパンツの場合、通気性が高く、ロングパンツの場合は保温性が高い・強度があり、枝や爪によって破れにくい | ・ショートパンツの場合、露出している部分が紫外線やけがのリスクにさらされる・季節によっては保温効果が足りないと感じる |
タイツ |
・着圧によって疲労を軽減できる・腰や膝の負担を軽減できる |
・枝や爪で破れやすい・着圧を不快に感じる人もいる |
トレッキングパンツとタイツの併用 |
・高い保温効果を得られる・組み合わせ次第でさまざまなコーディネートを楽しめる |
・トイレ時の着脱がしにくい・単体で着用よりも動きが制限されやすい |
トレッキングパンツを履くメリット

トレッキングパンツを着用すると、けがや紫外線、虫などから脚を保護できます。登山時は、平地よりもけがや紫外線のリスクが高くなっているため、安全に登山を楽しむためにもトレッキングパンツを着用しましょう。
また、トレッキングパンツを履くメリットには、熱中症や低体温症を防止できることが挙げられます。汗を吸水して発散することで、適切に体温を下げられたり、体温の急激な低下を防止できたりするため、登山時の快適さも確保できます。
トレッキングパンツを履くデメリット

基本的に、トレッキングパンツを履くデメリットはありません。トレッキングパンツは、一般的なボトムスを着用する場合に比べ、登山やトレッキングを快適におこなうために開発されたアイテムだからです。
トレッキングパンツのデメリットを強いて挙げるなら、季節や登る山によっては保温効果不足を感じる可能性があることです。その場合は、タイツと併用して保温性を確保しましょう。
トレッキングパンツの選び方

トレッキングパンツを選ぶ際のポイントには、以下のようなものがあります。
- 機能性で選ぶ
- 履き心地で選ぶ
- 登山する季節で選ぶ
機能性で選ぶ
商品によって、トレッキングパンツの機能性は大きく異なります。着用シーンによって必要となる機能が異なるため、どのような機能が必要か明確にしたうえで選びましょう。トレッキングパンツを選ぶ際に確認すべき機能には、以下のようなものがあります。
【ストレッチ性】
脚の動かしやすさに影響する機能です。ストレッチ性が低いものを選ぶと、脚を十分に動かせず、必要以上に体力を消耗してしまいます。
【保温性】
温度を保つ機能です。保温性が低いものを選ぶと、寒さによって筋肉が硬直してしまい、行動の妨げとなります。
【速乾性】
水分を素早く乾かす機能です。速乾性が低いものを選ぶと、雨や汗で肌が濡れている状態が続き、体温が低下してしまいます。
【耐久性】
外部からの物理的な影響に抵抗する機能です。耐久性が低いものを選ぶと、数回~数十回の洗濯で生地が傷んで着用できなくなります。
履き心地で選ぶ
トレッキングパンツの太さ・長さといったサイズや素材によって、履き心地は大きく異なります。履き心地の悪いトレッキングパンツを着用すると、締め付けによって肌の炎症を引き起こしたり、不快感から登山を楽しめなかったりしてしまいます。そのため、履き心地はトレッキングパンツを選ぶ際の重要なポイントです。
以下の表で、パンツの太さによるメリット・デメリットをまとめました。
| パンツの太さ | メリット | デメリット |
ゆったり
|
・締め付けによる不快感がない
・タイツと重ね着しやすい
|
・生地が多い分、重く感じやすい
・足回りがもたつく場合がある
|
細身
|
・足回りがもたつきにくい
・すっきりとしておしゃれに見える
|
・締め付けが不快に感じる場合がある |
ゆったりとしたパンツを選ぶと、締め付けによる不快感がありません。タイツと併用しても着心地がよい点も魅力です。
一方、細身のパンツには、足回りがもたつきにくいというメリットがあります。デザインがすっきりしているため、スタイリッシュな印象を演出できる点も嬉しいポイントです。
登山する季節で選ぶ
季節によって気温や汗のかきやすさは異なるため、重視すべき機能も変わります。快適に登山をおこなうためにも、以下の表で季節別に重視すべき機能を理解しておきましょう。
| 登山する季節 | 重視すべき機能 |
| 春・秋 | 通気性、透湿性、保温性 |
| 夏 | 通気性、透湿性、速乾性 |
| 冬 | 保温性、透湿性、防水性 |
春や秋は、時間帯によって気温が低いため、保温性が必要になります。夏は沢登りや汗によって濡れることが多いため、通気性や速乾性があるトレッキングパンツを選びましょう。冬でも行動中に汗をかくことから、保温性に加えて、透湿性が求められます。
【春・秋用】おすすめのトレッキングパンツ
春(3月~5月)や秋(9月~11月)の平地の平均気温は、15度~25度です。平地では快適に過ごせる季節ですが、朝晩や標高の高い場所にいる場合は気温が低いため、防寒対策が必要となります。保温性を確保できる格好を意識して、自然を満喫しましょう。
【春・秋のトレッキング、登山 一般的な服装例】
【ベースレイヤー】ウール |

「アルパインライトパンツ」とは、リサイクルナイロンとポリウレタンの混紡生地によって高いストレッチ性を実現しているトレッキングパンツです。ニットのような着心地の良さによって、長時間の着用でもストレスを感じません。立体的なデザイン設計によって、脚の動きを制限しない点も魅力です。
サイズはメンズタイプで紹介していますが、レディースタイプも販売されています。
| タグ | メンズ |
| サイズ展開 | S/M/L/XL/XXL |
| 素材 | APEX Aerobic Light Recycled Nylon(ナイロン92%、ポリウレタン8%) |
| 重量 | 335g(Lサイズ) |
| カラー | アスファルトグレー/アルパイン/トープ/ブラック |
【夏用】おすすめのトレッキングパンツ
夏(6月~8月)の平地の平均気温は25度~30度です。汗をかきやすい季節であるため、通気性と透湿性の高いものを選んで汗を発散させましょう。触れるとひんやりと冷たく感じる接触冷感素材のものを選ぶと、夏場でも涼しさを感じられておすすめです。
【夏のトレッキング、登山 一般的な服装例】
【ベースレイヤー】ポリプロピレン |

「タイムトゥトレイルパンツ」は、4wayストレッチ素材によって脚の動きをサポートするトレッキングパンツです。UVカット機能によって登山中の紫外線から体を守れます。スタンダードシルエットによって、スタイルや年齢を問わずに着用できる点も魅力です。
撥水機能が搭載されており、小雨や泥を弾くことが可能です。ブラックやベージュなど、カラー展開もベーシックなものなので、タウンユースとしても活躍できるはず。こちらはメンズ用のアイテムになります。
| タグ | メンズ |
| サイズ展開 | S/M/L/XL |
| 素材 | ナイロン4wayストレッチドビー |
| 重量 | 322g(Mサイズ) |
| カラー | ブラック/ピートモス/フラックス |
【冬用】おすすめのトレッキングパンツ
冬(12月~2月)の平地の平均気温は2度~10度です。標高が上がるとさらに気温は下がるため、防寒対策はしっかりおこないましょう。低体温症を防止するために、透湿性の衣服を着用することも重要です。雪山に登る場合は防水性も必要となります。
【冬の登山 一般的な服装例】
【ベースレイヤー】ウール |

「バーブパンツ」は、リサイクルナイロンとポリウレタンの混紡生地によってストレッチ性の高いトレッキングパンツです。ややテーパードのシルエットによって、見る人にすっきりとした印象を与えられます。
サイドに設置されたベンチレーションから汗をかいたあとの蒸れを効率的に排出してくれるほか、静電気の発生を抑える静電ケア設計も採用しています。こちらもメンズ用のアイテムになります。
| タグ | メンズ |
| サイズ展開 | S/M/L/XL/BM/BL |
| 素材 | APEX Aerobic Light Recycled Nylon(ナイロン92%、ポリウレタン8%) |
| 重量 | 450g(Lサイズ) |
| カラー | アスファルトグレー/アルパイン/トープ/ブラック |
トレッキングパンツに関するよくある質問

ここからは、トレッキングパンツに関するよくある質問について解説します。
Q.トレッキングパンツは普段使いもできる?
可能です。
現在販売されているトレッキングパンツの中には、タウンユースでも違和感のないデザインのものがあります。トレッキングパンツは機能性が高いことから、普段使いでも快適に着用できます。
Q.トレッキングパンツとクライミングパンツの違いは?
脚の動かしやすさが異なります。
クライミングは脚を大きく動かすスポーツであるため、クライミングパンツはトレッキングパンツ以上に伸縮性の高いボトムスです。トレッキングよりも脚を大きく動かすことが想定されており、デザイン設計が異なっています。
両者は異なるものであるものの、クライミングパンツをトレッキングパンツとして代用できます。ただし、速乾性の低いコットン素材のものは避けたほうがよいでしょう。
まとめ
トレッキングパンツには、けがや紫外線などから脚を守る役割があります。熱中症や低体温症を防止する効果もあるため、トレッキングや登山をする際には用意しておきましょう。
さまざまなデザインのトレッキングパンツが販売されているものの、デザインのみで選んではいけません。快適に登山を楽しむために、機能性や履き心地、登山する季節などを総合的に考慮し、自分に合ったトレッキングパンツを選びましょう。
ぜひ本記事で紹介した選び方やおすすめの商品を参考にして、お気に入りのトレッキングパンツを見つけてください。
筆者プロフィール:中土 剛志
株式会社センターグローブ代表。 SEOや記事制作の仕事に携わりながら、登山をライフワークとして楽しんでいます。
「日本山歩きのクエスト」は、登山やハイキングをもっと気軽に楽しんでほしいという思いから、自身の体験をもとに立ち上げたサイトです。
月に一度は山に足を運び、これまでに富士山や剣岳といった名峰にも挑戦してきました。
はじめて山歩きに挑戦する方にもやさしく紹介していますので、参考にして頂けますと嬉しいです。

