
YouTubeやテレビのバラエティー番組などでも、バイクや自転車を運転しながら自分自身を撮影した映像などをよく見ることがあるのではないでしょうか。
小型軽量さや頑丈さを活かして気軽にアウトドアでの撮影が楽しめることから、登山の撮影で利用する人も多いアクションカメラ。
今回は、アクションカメラを選ぶ際に注目すべきポイントを解説します。登山にぴったりのおすすめ5モデルも紹介していますのでぜひ参考にしてください。
選ぶポイント

アクションカメラを買う前にチェックしておきたい重要ポイントは以下の8項目です。
- 手ブレ補正が強力か
- 解像度とフレームレートが高いか
- バッテリー容量が十分にあるか
- 防塵・防滴性を備えているか
- 広角レンズが搭載されているか
- 自撮り対応のモニターを備えているか
- ナイトモードやタイムプラス機能があるか
- アクセサリーが豊富にそろっているか
すべてを満たすことはむずかしいので、自分にとって必要な項目をクリアできるかどうかを基準に考えてください。以下では、それぞれの項目について紹介していきます。
手ブレ補正が強力か
山道を歩きながら動画を撮ることも多いので、手ブレ補正機能が強力なほど有利です。ブレがあると画面がガタガタ揺れて見づらくなりますが、手ブレ補正が強力なら凹凸のある登山道を歩きながらでも安定したシャープな映像が得られます。
メーカーのウェブサイトなどに激しい動きのあるサンプル動画があれば、手ブレ補正の強さを判断できるのでチェックしておくといいでしょう。
解像度とフレームレートが高いか
解像度は画面を構成するドットの数のことで、数字が大きいほど細かい部分までくっきり映せます。山の風景をきれいに残したいなら「4K」以上がおすすめ。動画の1コマを切り出して静止画にしても十分な画質が得られます。
一方、長時間の動画撮影にはスタンダードな画質の「フルHD」が使いやすいです。
フレームレートは1秒間に表示する画面の数(fps=frames per second)であらわします。解像度が高くてもフレームレートが低いと動きがパラパラして不自然になるため、少なくとも24fpsまたは30fps以上のものを選びましょう。
なお、スキーやスノーボードなどの激しい動きをなめらかに見せたいなら60fps以上のフレームレートに設定します。
バッテリーの容量が十分にあるか
長時間の撮影に対応できるバッテリー容量があるかどうかもポイントです。バッテリー1本で撮れる時間が長いほど交換の頻度を減らせますし、荷物も少なくできます。
また、高い山では気温にも注意が必要です。たとえば、標高が2000mの山では平地より12度ほども気温が下がります。その分バッテリーの性能も落ちるため、撮影できる時間や枚数が減ってしまうのです。
最近は、低温に強いバッテリーを使っているものもありますので、冬場の撮影には心強いです。また、モバイルバッテリーに対応しているかどうかもチェックしておきましょう。
防塵・防滴性を備えているか

アクションカメラの多くは水中撮影にも対応できる防水性を備えています。砂にまみれたり雨や雪に濡れても大丈夫なので、安心して撮影を楽しめます。
登山だけに使うなら防水でなくてもかまいませんが、できればホコリや水濡れに強い防塵・防滴性があると安心です。カメラ本体が防水や防塵・防滴でない場合は専用のハウジングが用意されているかどうか確認しておきましょう。
なお、モバイルバッテリーなどを接続した状態では防水性や防塵・防滴性は発揮できないので注意してください。
広角レンズが搭載されているか
広角レンズは画面に映る範囲が広いのが特徴です。基本的には画角(画面に映る範囲の目安となる数字)が大きいほど有利で、狭いテントの中や自撮りのときにも窮屈な画面になりにくいです。
また、広角レンズは山頂からの景色をダイナミックに表現するのにも適しています。
レンズの画角は機種によって違いがあるほか、手ブレ補正の設定でも変わってきますので、スペックなどをしっかりチェックしましょう。ユニークな映像を狙うなら2つのレンズを使って全方向の映像が撮れる360度カメラもおすすめです。
自撮り対応のモニターを備えているか
液晶モニターが自撮りに対応しているかどうかも要チェックのポイントです。
通常、液晶モニターはカメラの背面側にあるため、自撮りの際には画面が見られません。そのため、可動式のモニターで画面を前面側に向けられるもの、あるいはカメラの前面に自撮り用モニターを備えたものを選ぶ必要があります。
見やすさを重視するなら画面サイズの大きなものを選ぶか外付けモニターを用意しましょう。Wi-Fi機能を使ってスマートフォンで映像を見られるものもあります。
ナイトモードやタイムラプス機能があるか
撮影機能が多彩なほど、さまざまな映像表現が楽しめます。
街灯などがない山の夜は星空が素晴らしいので、暗くてもきれいに撮れるナイト(夜景)モードが役立ちます。朝夕などの薄暗い時間帯でもノイズが少ない映像に仕上がるのもポイントです。
タイムラプスは静止画をつなげて動画にする機能で、日の出や日の入り、雲の流れ、星々の日周運動などの時間を縮めてドラマチックに見せられます。
アクセサリーが豊富にそろっているか
アクションカメラにはさまざまなアクセサリーが用意されています。
頭や胸にカメラを固定しておけるマウントを使えばハンズフリーでの撮影が可能。急な登り道では両手を空けられたほうが安全を確保しやすいです。稜線歩きをしながらの自撮りにはリモコン機能も備えたシューティンググリップや自撮り棒があると便利です。
そのほか、より広い範囲を映せるワイドコンバーターや高音質な外部マイクなど、自分にとって必要なアイテムがそろっているかどうか確認しておきましょう。
アクションカメラのおすすめモデル5選
アクションカメラには数千円の格安モデルから10万円を超える高級タイプまでさまざま。ここからは、人気機種の中から選りすぐったおすすめモデル5機種を紹介します。
GoPro HERO11

アクションカメラの代名詞ともなっている「GoPro」の最新モデル。
センサーとレンズが新型になり、12mm相当の超ワイドな5.3K・60fps動画が撮影可能になりました。手ブレ補正のHyperSmoothが5.0に強化されたほか、星の動きを美しく残せるスタートレイルモードも追加。低温に強いEnduroバッテリーのおかげで冬場の長時間撮影にも余裕があります。
アクセサリー類も豊富で多彩。互換性のある他社製品が多いのも有利な点です。
DJI Pocket 2

ジンバルを内蔵したグリップスタイルが特徴のモデルです。
カメラの揺れや傾きに追従してレンズ部を瞬時に回転させる3軸ジンバルで手ブレ補正がとにかく強力。歩きながらの撮影や自撮りが多い人に人気が高いです。動画は4K・60fps。画面を左右に移動させながら撮れるモーションラプス機能を使えば、稜線からの景色をダイナミックに残せます。
マイクを4つ内蔵しているのも見どころ。画質だけでなく音質にもこだわる人にはおすすめです。
Insta360 ONE RS

レンズ部が交換可能なモジュラー式モデルです。
4K・60fpsのHDR動画にも対応した4Kブーストレンズ、360度映像が撮れる5.7K360度レンズ、ライカレンズと大型センサーを搭載した高画質仕様の5.3K1インチレンズを自由に使い分けられるのが大きな特徴です。
レンズ部を前後逆に組み替えるだけで自撮りにも対応が可能。バッテリー容量が従来より21%アップしたおかげで長時間のタイムラプス動画も余裕です。
RICOH THETA X

VR(バーチャルリアリティー)向けの全天球カメラ。
360度カメラとして人気の高い「THETA」シリーズ初となるタッチパネル液晶モニターを搭載したアドバンスドモデルです。スマートフォンなしで設定の変更や撮影確認ができるなど、従来モデルにはない使い勝手のよさが魅力です。
GPS機能を内蔵しているので、山行の記録にも役立ちます。バッテリーが交換式になり、長期間の撮影も安心して楽しめます。
SONY VLOGCAM ZV-1

コンデジスタイルのVlogカメラで、ライカと並ぶドイツの名門ツァイスレンズと大きな1型センサーによる高画質が売りです。
24-70mm相当の光学ズームなので、望遠撮影でもシャープに撮れるのが強みです。内蔵マイクに付属のウインドスクリーンを装着すれば、強い風でもノイズの少ない高音質が楽しめます。
タッチパネル液晶モニターは3.0型と大きくて、自分撮りにも対応できるバリアングル式。画質と音質、使い勝手のよさの3拍子がそろったこだわり派向けの1台です。
まとめ
一口にアクションカメラと言ってもさまざまなスタイルのカメラがあって、どれが自分に合っているのかを見きわめるのは簡単ではありません。
アクションカメラ選びで迷ったときは、ここで紹介した8つのポイントに照らし合わせて、機能やスペックをチェックしてみてください。きっと、あなたにぴったりの1台が見つけ出せると思います。
筆者プロフィール:中土 剛志
株式会社センターグローブ代表。 SEOや記事制作の仕事に携わりながら、登山をライフワークとして楽しんでいます。
「日本山歩きのクエスト」は、登山やハイキングをもっと気軽に楽しんでほしいという思いから、自身の体験をもとに立ち上げたサイトです。
月に一度は山に足を運び、これまでに富士山や剣岳といった名峰にも挑戦してきました。
はじめて山歩きに挑戦する方にもやさしく紹介していますので、参考にして頂けますと嬉しいです。

